犬のフィラリア予防薬はいつから?始める時期・続ける期間・飲み忘れ対処法を獣医師が解説

「フィラリアの薬、そろそろ始めなきゃいけない気がするけど…今年はいつから飲ませればいいんだろう」。

毎年春になるたびに、こんなふうに迷う飼い主さんは多いのではないでしょうか。子犬を初めて迎えた方なら「そもそもいつから始めればいいの?」と疑問に思うこともありますよね。

この記事では、以下について動物病院院長の視点から詳しく解説します。

  • フィラリア予防薬を始める時期の考え方
  • 地域別の投与目安と通年投与の話
  • 子犬のフィラリア予防はいつから?
  • 予防薬を毎月飲ませる理由
  • 薬の種類と選び方
  • 飲み忘れたときの対処法

フィラリア症はしっかり予防薬を飲ませることでほぼ確実に予防できる病気です。この記事が、フィラリア予防に役立つと幸いです。

目次

フィラリア予防薬はいつから始める?

薬を始める時期の一般的な考え方としては、蚊が活動し始めてから1ヶ月後に投与をスタートし、蚊がいなくなった1ヶ月後に終了します。

地域開始の目安終了の目安
北海道・東北6月11月
関東・東海・北陸5月12月
近畿・中国・四国4〜5月12月
九州4月翌1月
沖縄通年通年

上の表はあくまで目安です。気候は年によって変わるため、実際の開始・終了時期はかかりつけの動物病院で確認してください。

飲み始めは気温を参考に

温暖化の影響で、蚊の発生時期は年々早くなっています。「例年通り5月でいいかな」と思っていたら、4月にすでに蚊が飛んでいた、というケースも珍しくありません。

蚊は気温が10℃を超えると活動を始めます。

気温が連続して10℃を超える日が続いたら、フィラリア予防の準備を始めるサインです。

通年投与は必要?最新の考え方

近年、「フィラリアの予防薬は1年通して飲ませるのが望ましい」という考え方が広まっています。実際、そのような方法を採用している動物病院も増えています。

通年投与のメリットとデメリット

通年投与には以下のようなメリット、デメリットがあります。

メリットデメリット
確実に予防できる手間が増える
毎月同じ日に投与する習慣がつく年間コストが増える

飲み忘れを減らすには、カレンダーに書き込んだり、スマホでリマインダーを設定したりするのがおすすめです。

子犬のフィラリア予防はいつから始める?

子犬を初めて迎えた方からよく聞かれる質問のひとつが、「うちの子はいつからフィラリア予防を始めればいい?」です。

子犬の生まれた時期によって初めて予防薬を投与する時期は変わります。

  • 春〜夏生まれ(蚊のシーズン中):生後6〜8週を目安に、そのシーズンから予防を開始する
  • 秋〜冬生まれ翌年の予防シーズンが始まる前に動物病院を受診する

多くのフィラリア予防薬は、生後42〜56日(6〜8週齢)から使用できます。

にゃーす

初めての受診時に獣医師に確認してみてね

フィラリア予防薬を毎月飲ませる理由

フィラリアの幼虫は犬に感染した時はL3(第3期幼虫)。その後、下の表のように体内で成長します。感染から3ヶ月ほどでL5(未成熟成虫)へ成長し血管を通って移動を始めます。

ステージ感染からの目安犬の体での生息場所予防薬の効果
L3(感染仔虫)蚊に刺された直後皮下有効
L4(第4期幼虫)感染後1〜2ヶ月皮下・筋肉有効
L5(未成熟成虫)感染後2〜3ヶ月血管へ移行効かない
成虫感染後6ヶ月〜心臓・肺動脈効かない

フィラリア症の予防薬は、幼虫を駆除し成虫へ成長するのを防ぐ働きがあります。

にゃーす

「飲めば蚊に刺されなくなる薬」ではなくて、駆虫薬だよ

ですが、効き目があるのはL3とL4のステージの幼虫にのみ。

だから、「蚊が現れ始める1ヶ月後から投与を始める」「定期的に投与する」ということが大切です

投与タイミングを守ることで初めて効果が発揮されます。

フィラリア予防薬を飲み忘れたときの対処法

「飲ませるのを忘れてしまった…」という経験がある飼い主さんもいると思います。そんなときの対処は、飲み忘れた期間によって対応が変わります。

1〜2ヶ月の飲み忘れ

気づいたタイミングですぐに投与して、次回から通常通りのスケジュールで続けましょう。この期間であれば、基本的にそのまま継続できます。

にゃーす

数回分まとめて飲ませるのは絶対にNGだよ!

3ヶ月以上の飲み忘れ

飲み忘れが3ヶ月以上になると体内にいたフィラリア幼虫が成長し、薬が効かない可能性があります。自己判断で薬を再開せず、必ず動物病院で相談してください。

フィラリア予防薬の種類と選び方

現在、動物病院で処方されているフィラリア予防薬には、大きく4つのタイプがあります。

タイプ特徴投与頻度
錠剤費用が安め
薬を飲むのが苦手な犬には不向き
月1回
チュアブルおやつ感覚で喜んで食べてくれる犬も多い
ノミダニ予防も同時にできる製品が人気
食物アレルギーがある犬は使えない
月1回
スポット(滴下)食物アレルギーがある犬向き
投与後2日はシャンプーNG
月1回
注射年1回のみでOK・飲ませ忘れなし年1回

フィラリア予防薬は体重によっても量が変わります。必ず動物病院で診察・処方を受けてください。

人気はオールインワンのチュアブルと注射

現在の主流は、フィラリア予防とノミ・ダニ駆除が1本でできるオールインワンタイプのチュアブルです。おやつ感覚で与えられるので、投薬が苦手な犬にも取り入れやすいのが魅力です。動物病院でもオールインワンのチュアブルタイプを処方することが多く、「これひとつでいろいろ予防できる」と飼い主さんに好評です。

ただし、チュアブルタイプは原材料に動物性成分を含むものが多いため、食物アレルギーがある犬は注意が必要です。アレルギーがある場合はスポットタイプが向いています。

注射も1回で済み、飼い主さんには負担がない方法のため人気です。

よくある質問(FAQ)

フィラリア症の薬について飼い主さんからよく聞かれる質問に回答します。

Q. フィラリア予防薬は動物病院でしか買えませんか?

フィラリア予防薬は「要指示薬」に分類される動物用医薬品です。獣医師による診察・処方が基本となります。

Q. 猫にもフィラリア予防は必要ですか?

猫もフィラリアに感染することがあります。完全室内飼いでも、家の中に蚊が侵入してくることは避けられません。猫専用のフィラリア予防薬がありますので、気になる方はかかりつけの動物病院に相談してみましょう。

まとめ

フィラリア予防薬を始める時期は、地域によって開始時期は異なり、関東では5月、九州では4月が目安ですが、温暖化の影響で早まる年もあるため気温を参考にしましょう。通年で処方する病院も増えています。

フィラリア予防薬は、犬に感染して1〜2ヶ月程度たった時期の幼虫(L3・L4)を駆除します。幼虫がL5(未成熟成虫)になると予防薬では効かなくなるため、「蚊が出始めた1ヶ月後から、いなくなった1ヶ月後まで」毎月欠かさず投与することが大切です。

子犬は生後6〜8週齢から投与できますが、薬の種類によって異なるため動物病院で確認をしましょう。薬のタイプはチュアブル・スポット・錠剤・注射の4種類があり、フィラリア予防とノミダニ駆除を1本でまかなえるオールインワンのチュアブルが現在の主流です。

飲み忘れた場合は、1〜2ヶ月であればすぐ投与して継続できますが、3ヶ月以上になると幼虫がL5に成長している可能性があるため、自己判断で飲ませず動物病院へ相談してください。

フィラリア症はきちんと予防薬を続ければほぼ確実に防げる病気です。今年も早めに動物病院を受診して、愛犬の予防をしっかり整えましょう。

にゃーす

毎年の予防が、愛犬の命を守るよ!

フィラリア症の症状や感染の仕組みについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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