2022年(令和4年)6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬と猫には、マイクロチップの装着・登録が義務化されました。
一方、知人からもらった猫や拾った猫は、マイクロチップが入っているのか、どんな手続きが必要なのか、わからないことも多いのではないでしょうか。
「知人からもらった猫にも、マイクロチップを入れないといけない?」
「拾った猫にチップが入っていたら、どうすればいい?」
「すでに入っている場合、名義変更は必要?」
そんな疑問をお持ちの飼い主さんに、先に結論をお伝えします。
- 登録済みのチップが入った猫を譲り受けた場合:30日以内に変更登録が必要
- チップが入っていない猫を迎えた場合:装着は努力義務。ただし、新たに装着したら登録が必要
- 迷い猫を拾った場合:まず警察署や自治体に連絡し、元の飼い主を探す
現在、色んな種類の純血種が知られていますが、夫の動物病院では今でも受診する猫の多くが日本猫系の雑種という印象で、入手先は知人から譲り受けたり、保護したりして迎えた家庭が多いそうです。
こうした猫では、マイクロチップの有無や登録状況がわからないこともあるでしょう。
この記事では、猫のマイクロチップの確認方法、変更登録の手続き、装着費用や痛みなどについて、獣医師の視点からわかりやすく解説します。
にゃーすマイクロチップは、迷子や災害ではぐれたときに飼い主さんのもとへ戻るための大切な備えにもなります
ぜひ、ご家庭の猫の状況に照らし合わせながら読んでみてください。
もらった猫・拾った猫にマイクロチップは必要?


猫のマイクロチップについては、どこから迎えたか、すでにチップが入っているかによって必要な手続きが変わります。
まずは、迎え方別に確認してみましょう。
| 猫の迎え方 | マイクロチップ装着の義務 | 飼い主が必要な手続き |
|---|---|---|
| ペットショップ・ブリーダーから購入 | 原則として販売業者が装着済み | 30日以内に変更登録 |
| 知人・保護団体から譲り受けた(チップあり) | 装着済み | 30日以内に変更登録 |
| 知人・保護団体から譲り受けた(チップなし) | 努力義務 | 新たに装着したら30日以内に登録 |
| 迷い猫を拾った | 猫の状況による | まず飼い主の確認と届出 |
| 以前から飼っている猫 | 努力義務 | 新たに装着したら30日以内に登録 |
環境省の制度にもとづく一般的な扱いです。以前から装着されているマイクロチップの登録先によって、手続きが異なる場合があります。
ペットショップ以外から迎えた猫は装着が努力義務
2022年6月からマイクロチップの装着が義務化されたのは、主にペットショップやブリーダーなどの犬猫販売業者です。
そのため、知人や保護団体から譲り受けた猫、以前から飼っている猫については、マイクロチップの装着は努力義務とされています。装着していないからといって、それだけで法律違反になるわけではありません。



ただし、装着しなくてもよいということではありません
迷子や災害への備えとして、できるだけ装着しておくことが望ましいです。
すでに登録されている猫は変更登録が必要
注意したいのは、マイクロチップがすでに装着され、環境省のデータベースに登録されている猫を譲り受けた場合です。
データベースに登録された飼い主の情報は、自動では書き換わりません。変更登録をしないままだと、万が一迷子になったとき、前の飼い主に連絡が行ってしまうことがあります。
変更登録には、マイクロチップの登録が完了したときに発行される「登録証明書」が必要です。
猫を譲り受ける際には、次の点を確認しておきましょう。
- マイクロチップが入っているか
- マイクロチップの登録証明書を猫と一緒に受け取れるか
具体的な手続きは、後ほど詳しく解説します。
拾った猫は、まず元の飼い主の確認を
迷い猫を拾った場合は、すぐに自分の猫として登録するわけではありません。その猫には、探している飼い主さんがいるかもしれないからです。
まずは警察署や保健所・動物愛護センターに連絡し、マイクロチップの有無を確認しましょう。
必要な届出については、後ほど詳しく解説します。
うちの猫にマイクロチップが入っている?確認する方法


知人から譲り受けた猫や、ある程度大きくなってから保護した猫では、マイクロチップが入っているかわからないこともあります。
マイクロチップは米粒ほどの大きさしかなく、首の後ろから肩甲骨の間あたりの皮膚の下に入っています。
動物病院で読み取ってもらう
マイクロチップの有無を確認するには、動物病院で専用のリーダー(読み取り機)を当ててもらうのが確実です。



リーダーをかざすだけなので、痛みはありません。
チップが入っていれば、リーダーの画面に15桁の識別番号が表示されます。この番号が、データベースに登録された飼い主情報を照会する手がかりになります。
ただし、登録された個人情報を確認できるのは、権限のある機関などに限られています。
マイクロチップが入っている猫のマイクロチップ変更登録の手順


マイクロチップが入った猫を譲り受けた場合の、変更登録について説明します。
変更登録は30日以内に行う
マイクロチップが登録されている猫を譲り受けたら、前の飼い主から登録証明書を受け取り、30日以内に変更登録を行いましょう。
手続きの流れは、次のとおりです。
- 前の飼い主から登録証明書を受け取る
- 登録証明書に記載された識別番号と暗証記号を確認する
- 環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトで変更登録を申請する
- 手数料を支払う
- 新しい登録証明書を受け取り、保管する
変更登録の手数料は、次のとおりです。
| 申請方法 | 手数料 |
|---|---|
| オンライン | 400円 |
| 紙での申請 | 1,400円+払込手数料 |



オンライン申請は自宅から手続きでき、手数料も安く済む
変更登録が完了すると、新しい飼い主の名前で登録証明書が発行され、前の登録証明書は使えなくなります。
申請はこちらからできます。
登録証明書がない場合はどうする?
知人から猫を譲り受けたものの登録証明書を受け取っていなかった、もしくは、前の飼い主が登録証明書をなくしていて受け取れなかったというケースもあるでしょう。
この場合は、まず前の飼い主に連絡してみてください。
再交付は、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトから申請できます。手数料はオンライン300円、紙での申請1,300円です。
再交付された登録証明書を元の飼い主から受け取ったら、記載されている識別番号と暗証記号を使って、30日以内に変更登録を行います。
前の飼い主と連絡が取れないときや、登録状況がわからないときは、指定登録機関に相談してください。
犬と猫のマイクロチップ情報登録 お問い合わせ窓口→電話:03-6384-5320
引っ越しや電話番号の変更も届出が必要
登録を済ませたあとも、飼い主の名前、住所、電話番号などが変わったときには、登録事項の変更を届け出る必要があります。



この届出に手数料はかかりません
マイクロチップの大切な役割は、迷子になったときに飼い主さんと連絡が取れることです。せっかく登録していても、電話番号や住所が古いままでは役に立たないことがあります。
引っ越しなどの際は、忘れずに変更しておきましょう。
拾った・保護した猫はまず届出と飼い主の確認を


迷い猫を拾った場合は、マイクロチップを装着したり、飼い主の登録をしたりする前に、元の飼い主がいないか確認する必要があります。



外で見つけた猫が、必ずしも飼い主のいない猫とは限りません。
まず警察署と保健所・動物愛護センターへ連絡
猫を保護したら、見つけた場所を管轄する警察署と、保健所・動物愛護センターに連絡しましょう。保護した日時や場所、猫の毛色や特徴などを伝えておけば、探している飼い主さんとつながる可能性があります。
なお、迷い猫の扱いは、猫の状況や自治体によって異なります。
警察では拾得物としての届出を受け付ける場合がありますが、飼い主のわからない猫については、保健所や動物愛護センターが対応することもあります。
どこに連絡すればよいかわからない場合も、まずは管轄の窓口に相談しましょう。
動物病院でマイクロチップを確認する
保護した猫は、ケガや病気がないか、ノミ・ダニなどの寄生虫がついていないかを動物病院で診てもらうと同時に、マイクロチップが入っていないか確認してもらいましょう。安心です。
チップが入っていたら番号を窓口へ伝える
マイクロチップが入っていた場合、動物病院で確認できるのは基本的に15桁の識別番号です。その番号から飼い主の名前や連絡先を一般の方が自由に検索することはできません。
マイクロチップの識別番号を、届出をした警察署や保健所・動物愛護センターへ伝えれば、関係機関が登録情報をもとに元の飼い主への連絡を進めます。
首輪に迷子札がついていて連絡先がわかる場合は、飼い主に直接連絡する方法もあります。
ただし、連絡がつかなかった場合などに備えて、自治体や警察署への届出も行っておくと安心です。
飼い主が見つからなかった場合
マイクロチップで元の飼い主が判明しても、連絡がつかなかったり、引き取りを希望しなかったりした場合は、新しい飼い主へ譲渡される可能性があります。
警察署や保健所・動物愛護センターなどの自治体などが、元の飼い主の確認や必要な手続きを進めます。
拾った猫をそのまま飼いたい場合は、最初の届出の際にその希望を伝え、どのような手続きを経れば正式に飼えるのか確認しておきましょう。
正式に飼うことが決まったら、マイクロチップの登録情報の変更についても、担当窓口や指定登録機関に確認してください。
マイクロチップが入っていない猫は装着すべき?


現段階でマイクロチップが入っていない猫については、一般の飼い主さんなら装着は努力義務であり、必ずしも入れなければならないものではありません。
完全室内飼いでもマイクロチップを装着しておきたい理由
室内飼いの猫でも、ふとした拍子に玄関や窓のすき間から脱走する可能性はあります。また、地震や水害などの災害時には、パニックを起こして開いたドアから外へ逃げ出してしまうこともあるでしょう。
特に、外に出た経験のない猫は、迷子になると自力で帰宅することが難しいこともあります。もし猫が自力で帰れたとしても、飼い主さんが自宅から避難してしまっていたら、会うことができません。
首輪や迷子札は外れてしまうことがありますが、マイクロチップは皮膚の下に装着するため、外れ落ちる心配がほとんどありません。首輪が苦手な猫にもおすすめです。
「完全室内飼いだから必要ない」と考えず、万が一の備えとしてマイクロチップを検討してみてください。
費用は数千円〜1万円程度が目安
マイクロチップの装着費用は、動物病院によって異なります。



一般的には、数千円〜1万円程度が目安です。
装着時には、獣医師から「マイクロチップ装着証明書」が発行されます。この書類は登録の際に必要なので、なくさないように保管しておきましょう。
装着料とは別に、データベースへの登録手数料がかかります。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 動物病院での装着料 | 数千円〜1万円程度 |
| 登録手数料(オンライン) | 400円 |
| 登録手数料(紙申請) | 1,400円+払込手数料 |
装着費用の補助金が出る自治体もある
自治体によっては、犬・猫の所有明示の推進のため、マイクロチップの装着費用の一部を補助しているところもあります。
お住まいの自治体のホームページで、補助制度がないか確認してみましょう。
痛みは一瞬で、多くは麻酔なしで装着する
マイクロチップは、専用の注入器を使って皮膚の下に装着します。
装着の様子をぬいぐるみを使ってシミュレーションしました。注入器は実際に使うものです。


注入器の針は、通常のワクチン注射の針より太めです。
そのため、針を刺すときには痛みがありますが、処置自体は短時間で終わり、多くの場合は麻酔を使わずに装着します。
麻酔をかける手術などの機会に、あわせて装着する方法もあります。
生後4週齢頃から装着できる
環境省によると、猫は生後4週齢頃からマイクロチップを装着できるとされています。ただし、実際に装着するかどうかは、体格や健康状態などを考慮して判断します。
高齢の猫でも装着は可能ですが、持病がある場合や体調に不安がある場合は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
装着したら30日以内に登録する
マイクロチップを装着しただけでは、飼い主の名前や連絡先が自動的に登録されるわけではありません。



装着後の登録まで済ませてはじめて、迷子対策として役立ちます。
マイクロチップを新たに装着した場合は、装着後30日以内に飼い主情報を登録する必要があります。
猫が亡くなったときも手続きが必要
環境省のデータベースに登録している猫が亡くなった場合は、死亡の届出を行います。登録証明書などを確認し、指定登録機関のサイトから手続きしてください。死亡の届出には手数料はかかりません。
マイクロチップの仕組み


ここで、マイクロチップの基本的な仕組みと、登録手続きで使う書類について整理しておきましょう。
マイクロチップは外れない名札
マイクロチップは、直径1〜2mm、長さ1cm前後の円筒形の電子器具です。



体の中に入れる「外れない名札」のようなものです。
マイクロチップには15桁の識別番号が記録されています。
専用のリーダーを当てると番号を読み取ることができ、登録機関のデータベースと照合することで、登録された飼い主の情報を確認できます。
実物を1円玉と比較
実際のマイクロチップを1円玉と並べて撮影しました。


実物を見ると、とても小さいことがわかりますね。マイクロチップの表面は生体適合素材で覆われているため、動物の体内に挿入しても害が出ることはありません。
GPSのように居場所を追跡することはできない
マイクロチップには、GPSのような位置情報の機能はありません。そのため、飼い主さん側からスマートフォンなどで猫の居場所を調べることはできません。
猫の居場所を知りたい場合は、GPSなど別の仕組みが必要です。
マイクロチップに関連する2つの書類


マイクロチップの手続きでは、主に2種類の証明書が登場します。
- 装着証明書
- 登録証明書
この2つの証明書は名前が似ているため混同しやすいですが、役割は異なります。
| 項目 | 装着証明書 | 登録証明書 |
|---|---|---|
| いつ発行される? | チップを装着したとき | データベースへの登録完了後 |
| 誰が発行する? | 装着した獣医師 | 環境大臣・指定登録機関 |
| 何に使う? | 最初の登録 | 譲渡・変更登録など |
装着証明書は、最初の登録のときに必要
装着証明書は、マイクロチップを装着したことを証明する書類です。マイクロチップを装着した獣医師から渡され、最初に飼い主情報を登録するときに使います。
登録証明書は生涯保管が必要
一方、登録証明書は、データベースへの登録が完了したことを示す書類です。登録証明書には、登録事項の変更手続きに必要な暗証記号などが記載されています。
また、登録証明書は、今後の手続きに備えて大切に保管しておきましょう。
マイクロチップ・迷子札・GPSの違い


マイクロチップと、迷子札、GPS首輪を比較すると、それぞれ得意な役割が違うことがわかります。
| 項目 | マイクロチップ | 迷子札 | GPS首輪 |
|---|---|---|---|
| 主な役割 | 保護されたあとの身元確認 | 見つけた人からの連絡 | 猫の居場所を探す |
| 位置情報 | わからない | わからない | わかる |
| 外れる心配 | ほぼない | ある | ある |
| 電池・充電 | 不要 | 不要 | 必要 |
| 費用 | 装着料・登録料 | 比較的安価 | 本体代・利用料など |
それぞれのメリットをまとめると次のようになります。
- マイクロチップ:一度入れれば外れ落ちる心配がほぼない
- 迷子札:見つけた人がその場で連絡先を確認できる
- GPS首輪:飼い主さん自身が猫の居場所を探せる
マイクロチップは身元確認、迷子札は連絡先の表示、GPSは居場所の確認と考えると、違いがわかりやすいでしょう。
ただし、首輪を嫌がる猫もいます。猫の性格や生活環境に合わせて、無理のない方法を選んであげてください。
まとめ:もらった・拾った猫はマイクロチップの確認と登録を忘れずに


もらった猫・拾った猫のマイクロチップについて、装着の義務や確認方法、登録手続きなどを解説してきました。
最後に、大切なポイントをおさらいしましょう。
- チップが入っているかわからない場合は、動物病院でリーダーを使って確認してもらう
- 登録済みのチップが入った猫を譲り受けたら、登録証明書を受け取り、30日以内に変更登録をする
- チップが入っていない猫の装着は努力義務。ただし、新たに装着したら30日以内の登録が必要
- 迷い猫を拾った場合は、まず警察署や自治体に連絡し、元の飼い主を確認する
マイクロチップは、入れただけで安心できるものではありません。登録された情報が、今の飼い主さんのものになっていることが大切です。
普段は完全室内飼いの猫でも、何かの拍子に脱走したり、災害ではぐれたりする可能性があります。そんなときに、猫が無事に帰ってこられるように。いまおうちの猫がマイクロチップを装着していないときは、装着を検討してみてくださいね。







