SFTS(重症熱性血小板減少症候群)2026年最新版|治療薬アビガン承認・ペットでも感染急増・マダニ予防などを獣医師が解説

愛犬や愛猫が外から帰ってきたあと、体にマダニが付いているのを見つけたことはありませんか?マダニは、血を吸うだけでなく、伝染病を運ぶこともあるとてもやっかいな寄生虫です。

マダニが運ぶ感染症の中でも、特に怖いのがSFTS(重症熱性血小板減少症候群)です。SFTSは人もペットも感染する人獣共通感染症です。

最近は人の患者が毎年増え続けており、2025年には過去最多となる191例のSFTS患者が報告されました。

しかもこれまで「西日本の病気」と思われていたSFTSが、北海道や東北でも発症例が報告されました。

この記事では、2025年のデータをもとにSFTSについて以下の項目をわかりやすく解説します。

  • SFTSとはどんな感染症か
  • 2025〜2026年現在の最新感染状況
  • 犬・猫がかかったときの症状と致死率
  • 2025年、人のSFTSの治療薬が承認
  • ペットのマダニ予防薬の選び方

出典・参考資料は以下のとおりです。
1:国立感染症研究所「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」2026年1月31日現在 URLはこちら
2:国立感染症研究所「獣医療関係者のSFTS発症動物対策について」2026年4月25日版 URLはこちら

にゃーす

ペットや自分の命を守るため、しっかり対策を学び実践しよう

目次

SFTSとは?マダニが媒介する怖い感染症

SFTSはマダニが感染を広げるウイルス性の病気です。日本では2013年から感染症法の4類感染症として全数把握の対象になっています。

原因・感染経路・潜伏期間

SFTSウイルスはマダニの吸血によってヒトや動物に伝播します。感染経路は大きく2つあります。

  • マダニに直接刺される
  • SFTSを発症した動物に引っかかれたり咬まれたりして、体液(血液・涙・唾液・糞尿・嘔吐物)からうつる

感染してから症状が出るまでの潜伏期間は6〜14日(平均1週間)です。

大部分は、①マダニに刺されたことで感染する経路です。

人への感染は主に、マダニの咬傷

人への主な感染は、農作業やキャンプなどの野外活動においてマダニに刺されたことです。

マダニは、口器と呼ばれるストローのようなものを刺して人の血を吸います。その際に、マダニ体内のウイルスが人の体に入って感染します。

マダニの活動時期と生息場所

日本で主にSFTSのウイルスを運んでいると考えられているのは、フタトゲチマダニという種類のマダニです。

マダニは5〜10月が活動のピークですが、冬でも完全に活動停止するわけではありません。SFTSは年間を通じて発症の報告があるため、寒い時期でも注意が必要です。

マダニの生息場所は山や草むらだけでなく、公園の芝生や自宅の庭など私たちの身近なところにもいます。

全てのダニがウイルスを運ぶのではない

STSFを媒介するのは「一部のマダニ類」だけです。

一般家庭にいるような「イエダニ」「ツメダニ」、ハウスダストアレルギーの原因となる「ヒョウヒダニ」はSFTSの感染には関係ありません

また、マダニの全てがSFTSウイルスを保有しているわけではありません。

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マダニのウイルス保有率は地域や季節によりますが、数%と報告されています

【2026年最新】人もペットも、SFTSの感染状況が急増している

SFTSの感染者数は年々増加しており、2025年にはついに過去最多を記録しました。

2025年に過去最多191例を記録

国立感染症研究所のデータ(2026年1月31日現在)によると、SFTSが感染症法で全数把握対象疾患となった2013年3月以降、これまでの累計届出数は1,252例(死亡131例)に達しています。

注目すべきは、2025年の感染者数が191例と過去最多を記録したことです。

それまでの最多は2023年の134例でしたが、去年は一気に57例も上回りました。2025年4月だけで48例という、単月としても過去最高の数字が出ています。

以下の表は年ごとの発症・死亡数の推移です(2013〜2025年)。

発病年総計うち死亡数
2013年40例14例
2014年61例16例
2015年60例11例
2016年60例8例
2017年90例8例
2018年77例4例
2019年102例5例
2020年75例5例
2021年111例9例
2022年116例12例
2023年134例9例
2024年121例11例
2025年191例15例

出典:国立感染症研究所「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」2026年1月31日現在の表2より

※死亡数は届出時点の集計。届出後に死亡した症例は含まないため、実際の死亡数はより高い可能性があります。

患者の年齢は70代が最も多く(約35%)、次いで80代(約29%)と、高齢者に集中しています。年齢中央値は75歳です。

「西日本の病気」ではなくなってきた

SFTSの届出症例数の都道府県別分布(2026年1月現在)
出典:国立感染症研究所「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」SFTS届出症例の届出地域(n=1,252、2026年1月31日現在)

感染者数の多い地域は、宮崎(124例)・広島(99例)・長崎(97例)・高知(96例)など西日本が中心です。

2025年のデータをみると、届出があった地域が以前よりも明らかに北〜東日本に広がっていることがわかります。

  • 北日本:北海道、秋田で初の届出が確認
  • 関東地方:茨城・栃木で初の届出が確認され、東京、神奈川で届出数が増加。

かつては地図の色がほぼ西日本に集中していましたが、今や日本海側・太平洋側を問わず、全国に点在する状況です。

獣医師がSFTSに感染・死亡した事例も

動物を診療する獣医師や動物病院スタッフが、動物のケアを通じてSFTSに感染した事例が2025年10月時点で累計12例報告されています。2025年には中部地方の70代男性獣医師が死亡しています。

ペットを動物病院に連れて行く際、以下の症状が当てはまるなら受診前に電話で症状と状況を伝えましょう。

  • マダニに刺された形跡がある
  • 発熱
  • 元気や食欲がない
  • 黄疸(目や皮膚が黄色い)がある
  • 最近草むらや山に連れて行った
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病院側も適切な防護措置をとることができます

犬と猫がSFTSにかかったらどうなる?

犬や猫も、マダニを介してSFTSに感染します。人と同じく、発症の報告数も年々増えてきており、地域も急速に広がっています。

2026年の猫の発生数はすでに過去最多のペースで推移しており、東日本に住む飼い主も他人事ではなくなっています。

SFTSに感染した猫の月別発生数(2017〜2026年3月)
出典:SFTS診断ネットワーク調査(国立感染症研究所,2026年3月31日現在)
SFTSに感染した猫の月別発生数(2017〜2026年3月)
出典:SFTS診断ネットワーク調査(国立感染症研究所,2026年3月31日現在)

猫の症状と致死率

猫はSFTSウイルスに感染すると重篤な症状を起こしやすく致死率は60%前後と非常に高いです。1歳以下の若い猫でも発症することがあります。

主な症状は以下の通りです。

  • 元気・食欲の低下(ほぼすべての症例)
  • 発熱(39℃以上)
  • 黄疸(目や皮膚が黄色くなる)
  • 嘔吐・下痢などの消化器症状
  • 血液検査:白血球数・血小板数の減少、肝臓の数値(AST/GOT)の上昇

重症例では発症から5日程度で死亡することもあります

犬の症状と致死率

犬のSFTSの報告数は猫の1/10程度で、犬は感染しても無症状や軽症で終わることが多いです。しかし、発症した場合の致死率は40%以上と決して低くありません。

主な症状は猫と似ています。

  • 発熱
  • 元気食欲低下
  • 白血球数
  • 血小板数の減少など

犬は回復後も尿の中にウイルスが長期間排出されるとされており、退院後も注意が必要です。

ペットの治療と退院後の生活

現時点で動物に有効なSFTSの治療薬はなく、対症療法が中心です。輸液・制吐剤・抗菌剤などで状態を維持しながら回復を待ちます。

退院の基準は「血中ウイルス遺伝子の陰性が2回確認できること」ですが、退院後1週間はケージ内飼育で、飼い主や他のペットとの濃厚接触を避けることが推奨されています。

ペットがSFTSで亡くなった場合の扱い

あまり知られていませんが、SFTSで亡くなったペットの遺体にも感染性のウイルスが残っています。お別れのときも、以下の点に注意してください。

  • 素手で触らない(使い捨て手袋を着用する)
  • ペットシーツで遺体を包む
  • ビニール袋で3重に密封する
  • 火葬を選ぶ(土葬は野生動物による掘り返しや土壌汚染のリスクがある)
  • 業者・役所に依頼する際は「感染症の可能性あり」と必ず伝える

2025年、人のSFTS治療薬が承認

SFTSは長らく「有効な治療薬がない感染症」として知られていました。しかし、2025年7月、富士フイルム富山化学の「アビガン®錠200mg」が、SFTSウイルス感染症に対する治療薬として世界で初めて承認されました。

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これはSFTS対策における大きな前進です。

ただし、注意点がいくつかあります。

アビガンはヒト用の薬であり、現在は動物病院では購入・処方できません。添付文書には「症状の発現後速やかに投与を開始すること」と記載されており、早期受診がカギになります。

動物への応用はまだ研究段階であり、現時点では人の治療のみに使われるものです。

動物用の治療薬の開発が進むことが期待されます。

ペットのSFTS感染を防ぐには、マダニ予防しかない

治療薬ができたとはいえ、まだ人用のみ。ペットへの有効な治療薬はないため、犬や猫ではマダニの感染予防が何より大切です。

動物病院で処方されたマダニ駆除薬を定期的に使用し、マダニを寄生させないようにしましょう。

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犬はフィラリア予防とノミ・ダニ予防が同時にできるチュアブル錠が人気

予防薬を使っていても油断しないで

予防薬はマダニ感染のリスクを大幅に下げますが、寄生を防げるわけではありません

特にマダニが多い季節は、散歩から帰ったあとにペットの体をチェックするようにしましょう。

猫は、室内飼育の徹底が最も確実な予防策です。外に出る機会があるほどマダニに咬まれるリスクが高まります。すでに外に出す習慣がある猫でも、少しずつ室内飼育に移行することを検討してみてください。

SFTSに限らず様々な感染症予防の観点から、猫は室内飼育が望ましいです

また、ペットに発熱や元気消失などの異変が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

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野良猫の保護活動をされている方も注意してください

室内飼育の猫も予防は必要

室内で飼っている猫も家族や同居の犬がマダニを運んでくることもあるため、リスクがないとは言えません。予防薬を定期的に使うことをおすすめします。

ペットの体にマダニを見つけたら

吸血中のマダニを無理に手で取ろうとするのは危険です。

マダニを圧迫すると体内のウイルスが注入されるリスクがあります。また、マダニの口器がちぎれて皮膚に残ると炎症を起こす恐れがあるため、そのまま動物病院へ連れていき、取ってもらうようにして下さい。

まとめ

この記事では、今年も人で複数の症例が報告されている「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について解説しました。

SFTSについて知っておきたい3つのこと【2026年最新版】

  • 2025年に人のSFTS届出件数が過去最多191例を記録。
  • 北〜東日本でも発症例が報告され、全国的に感染が見られるようになっている。
  • 2025年7月、世界初の治療薬「アビガン」が承認(人用のみ

ペットの有効な予防方法はマダニ予防薬の継続使用+外出後のチェック

SFTSは怖い感染症ですが、正しい知識を持って予防することで、感染のリスクを大きく下げることができます。犬や猫にはマダニ予防薬を年間通じて使い、気になることはかかりつけの動物病院に相談しましょう。

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