私は9年間、公務員獣医師として勤務し、3人目の妊娠を期に退職。数年間は育児に専念し、現在はWebライターとして2年間活動しています。
ここに至るまで、働き方についてたくさん悩みましたが、今は獣医師としての知識を活かしながら、やりがいを持って在宅で仕事ができています。
獣医師は、職場環境や、出産や子育て、介護といった家庭の事情などで「このまま同じ働き方を続けられるのか」と迷う方も多いです。これまでのキャリアを振り返るとともに、転職の一例として、悩んでいる方の参考になれば幸いです。

今回の記事は、リアルな体験談です
公務員退職を決意するまでの背景


産休・育休を挟みながら9年間、家畜保健衛生所に勤務しました。
家畜保健衛生所の仕事は、農場巡回や病性鑑定など屋外での業務が多く、体を動かすことが好きな私にとって、楽しいところもたくさんありました。
- 農場で牛や豚を追いかけながら採血をするのも楽しかったし、
- 仕事帰りに定食屋さんで昼ご飯を食べる時間も好きで、
- 病理学の研修に8ヶ月間参加したことも、第2の青春のような思い出です
一方で、私は昔からいずれ子どもを生んで、しっかり向き合って育てたいという気持ちが強く、子どもが学校から帰ってきたら「おかえり」とおうちで迎えたいと思っていました。
子育てと仕事の両立を考えて心配になる
夫は地元で開業し動物病院を建てました。病院は県の端っこのエリアのため、近くに住むと私の異動先は限られます。
県庁には近かったのですが、育児中の職員は急な休みも多いため、「県庁への異動は現実的ではない」と言われていました。
- 異動先候補のうち近い所であっても、片道1時間半
- 朝は子どもが起きる前に出勤し、帰宅は19時を過ぎてしまいそう
疲れて帰宅したあとご飯の支度をして、子どもと向き合う生活ができるのか不安になりました。
また、保育園からの呼び出しは全て私が対応することになるためプレッシャーも感じました。
周囲の声と自分の気持ち
公務員は度々、評価や人事異動の件で所属長との面談があります。私は早いうちから将来の働き方について相談していました。
所属長からは「今考えても仕方ないよ」「やってみてから考えたほうがいいよ」ということを言われました。ですが、働き方は自分の人生に関わる大事なことなので、私はそうは思えませんでした。
「子どもが親を必要とするのはほんの一時期。だから、仕事は辞めないほうがいいよ」という先輩の言葉も心に残りました。
3人目妊娠と同時に退職し、出産後、夫の動物病院の近くに引っ越しました。
新しい働き方を考えた日々


退職後は、3人の子どもたちの年齢が近かったこともあって、毎日が嵐のようでした。夫は病院が忙しく、ワンオペ家事・育児をしていました。
末っ子が在宅のうちは仕事をせず、家事と育児に専念していましたが、保育園に入園すると昼間に空き時間ができるように。
最初は久しぶりに1人で出かけられる身軽さを満喫していましたが、しばらくすると「自分も稼ぎたい」「獣医師の資格を活かしたい」という気持ちが湧いてきました。
動物病院で働く選択肢はなかった
私が獣医師だと話すと、「旦那さんの動物病院で働けばいいのに」とよく言われます。
でも、小動物臨床の経験がない私にとって、子どもたちとの生活を一番の軸にしつつ、1から臨床を勉強する気力・体力はありませんでした。
また、小動物臨床は飼い主さんとのコミュニケーション能力も非常に大切だと夫から聞いており、ちょっと苦手かもしれないと感じました。
Webライターとしての働き方


元々、文章を書くのは好きでした。
在宅でできることから、Webライターに挑戦してみようと思い、クラウドソーシングサイト(Lancers、クラウドワークス)に登録したのが2023年2月です。
最初はファッションやグルメ、健康、育児、保育の記事からスタートし、少しずつ実績を積んでいきました。
案件をこなしていくと、どうしても自分に合う案件・合わない案件が出てきます。服装に興味やこだわりがない私には、ファッション系のライティングは、文章がどうしても浮かばず苦戦しました。



やってみたからこそ、わかることもある
現在:ペット関連の記事を中心に執筆中
Webライターとして働き始めて2年。一ヶ月の報酬は約15万円ほどになりました。
現在は、クラウドソーシングサイトで出会ったクライアント2社と、直接営業でご依頼いただいたクライアント1社から、ペットの病気解説やしつけの悩み事相談、ペット用品の紹介といった記事を定期的に依頼いただいています。
平日は子どもが学校に行っている9時〜15時に稼働し、学校行事や予定がある日は休むスタイルです。



休日は子どもが自宅にいるため、ほとんど執筆はできません。
収入を安定させるため、応募も続ける
Webライターの仕事は収入に波があります。
仕事を依頼されるペースはクライアントさんによってまちまち。記事を納品するとすぐに次の依頼をいただくところもあれば、2ヶ月に1本など依頼のペースが決まっているところもあります。
そのため、自分の余力も考えながら次の手を考えます。
- クラウドソーシングサイトで新しい案件に応募
- 自分が得意なジャンルであるペット関係のメディアのホームページを確認
- 「このメディアのコラムを書きたい」と思ったときは、お問い合わせフォームから直接営業



ペット関係だけでなく、ライフスタイルの記事も書いています
ブログを始めた理由
私は自分のライティングには自信を持ってお仕事をしています。
だからこそ「自分が伝えたいことを自由に書きたい」と思い、2025年4月から本ブログを始めました。
Webライターのリアルな感想


Webライターになって2年目。この働き方にしてよかったと思うことや、大変と思うことをまとめました。
よかったこと
一番は、「子どもたちの成長を近くで見守り、家で『おかえる』と言える生活」ができているということです。
自分のペースで働ける
Webライターに限らず、フリーランスの利点は仕事の自由度が高いこと。
仕事に全精力を傾けるのも、育児やプライベートと上手にバランスを取っていくのも、自分で調節することができます。



人間関係、通勤のストレスもない
獣医師の知識が役に立つ
ペットの病気解説の記事では、自分の本名を最後に付けた署名記事を納品しています。責任を感じるとともに、一生懸命勉強した知識を仕事に活かせているのはやりがいを感じます
私は家畜に関わる仕事をしていたので、小動物臨床の知識は全然ありません。
そのため、夫から今の獣医療のトレンドを聞いたり、参考資料を持ってきてもらったりしながらライティングをしています。



夫婦で協力して記事を執筆!
社会貢献ができている
記事を依頼してくださるクライアントさん、読んでくださる読者の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
育児中は、「自分は社会に何も関わっていない」という孤立感を感じてしまったこともありました。
また、Webライターの仕事を続けていく上で一番大事なのは「自分のライティングでこのメディアの力になりたい!」と思えるクライアントさんと出会うこと。そういったクライアントさんとの出会いを求めて、日々応募もしています。



ライティングにも熱が入る!
大変なこと
- 自己管理の大変さ
- 収入に波がある
フリーランスの欠点といえば、収入が一定しないという点です。また、スケジュール管理や確定申告、契約などを含めたクライアントワークなどが、すべて自己責任という点もあります。



それでも、私は今の働き方に満足です。
準備しておくと安心なこと
すでに安定した仕事をお持ちの方は、いきなり今の仕事をやめて、Webライターを始めるのはおすすめしません。
以下のような方法をおすすめします。
- 本業と同時並行しながら、副業としてチャレンジしてみる
- 転職をするなら生活防衛資金を半年〜1年分用意する



公務員は副業禁止だから気を付けて
まとめ


私にとって、在宅ライターへの転職はとても自分に合った選択で、後悔はありません。この働き方を理解し応援してくれた夫にも感謝しています。おかげで、子どもたちと一緒に幸せな時間を過ごせています。
自分らしい働き方を模索することは価値があり、迷ったとしても、一度立ち止まって考える時間は、決して無駄になりません。
読者の皆さんが自分の価値観にあった生き方・働き方を見つけられますように。

