老犬の介護費用は「ペット保険」と「貯金」のダブルでカバー。獣医師が解説する保険と貯金の役割分担

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ペットの老後資金を用意するにはどうしたらいいかという記事のアイキャッチ。保険と貯金両方で備える重要性を伝えている。

先日、NHK「北海道道 ずっといっしょに 老犬介護施設の現場から」という番組を見ました。番組の中では、犬の介護に備えて、若いうちから飼育費用を貯金しておくことの大切さが語られていました。

ペットの寿命が延びたことで、認知症など老いによる病気を発症したり、介護が必要になったりする犬も増えています。

これを見て、「うちはペット保険に入っているから老後もなんとかなるはず」と思っていた飼い主さんも多いのではないでしょうか。

実は、ペット保険と介護費用の関係には、多くの飼い主さんが見落としがちな盲点があります。

この記事では、FP3級の資格ももつ私が、

  • 保険で備えられるもの
  • 貯金で備えるべきもの

を、獣医師の視点から整理してお伝えします。

にゃーす

犬が若いうちから考えておこう

目次

ペット保険は「介護にかかる費用」をカバーできる?

ペット保険では老犬ホームやおむつ・介護ベッド、療法食など日々の介護費用は一般に補償対象外であることを図解したスライド

結論から言うと、

一般的に介護にかかる費用は、ペット保険の対象外とされています。

具体的に言うと、介護や生活支援にあたる費用には以下のようなものがあげられます。

  • 老犬ホーム・老犬介護施設の利用料
  • デイサービス・預かりサービスの料金
  • 介護用品(おむつ、介護ベッド、徘徊対策グッズなど)の費用
  • 療法食・サプリメント

これらの費用は「生活の質を保つためのケア」にあたるため、保険の補償外であるのが一般的です。健康診断やワクチン、予防が対象外なのと同じ考え方だと捉えると、イメージしやすいと思います。

毎日おうちで与える療法食も、保険の対象外です。

にゃーす

人の公的な介護保険との違いですね

補償内容は保険会社・商品ごとに異なります

ここで紹介した内容は、あくまで一般的な傾向です。実際にどこまで補償されるかは保険会社やプランによって差があるため、詳しくは各社の重要事項説明書・約款をご確認ください。

発症前から加入していてもカバーされるのは治療のみ

ペット保険でカバーできるのは治療費のみで、既往症は対象外・シニア加入は保険料が高く、元気なうちの加入が鉄則だと示したスライド

認知症を発症したり、介護が必要になりそうなタイミングで保険を検討すればいいのでは?」と思われるかもしれません。

にゃーす

ここで重要なのは、既往歴という考え方です

既往症は対象外・引受を断られることも

先ほど触れたとおり、加入前からの病気や治療中・経過観察中の病気は、一般的に補償の対象外です

保険会社によっては、特定の病気を補償の対象外とする「特定傷病除外特約」がついた形でしか加入できないケースもあります。

にゃーす

つまり発症してから加入しても保証されない

さらに、高齢になってからかかりやすい病気(悪性腫瘍・慢性腎不全・糖尿病など)にすでに罹患している、またはその疑いがある場合は、契約そのものの引受を断られることもあります。

確かにペットの高齢化に伴い、高齢でも加入できるシニア向けの保険も登場しています。

それでも、審査によっては加入できないことがある、という点は知っておいたほうがよいでしょう。

だから「元気なうちに」が鉄則

  • 認知症の症状が出てから
  • 介護が必要になってから

このようなタイミングで保険を検討しても、条件に合う保険は見つからない可能性が高いです。

ペット保険を年を取ってからかかりやすい病気の治療費の一部に当てたいのであれば、ペットが若く健康なうちに加入しておくことが大原則です。

シニア期の愛犬が認知症を発症したら

老犬がかかりやすい病気のひとつに、認知症(認知機能不全症候群)があります。

これは老化にともなって脳の機能が低下し、徘徊や無駄吠えなどの症状が出る病気です。

にゃーす

愛犬の認知症の症状に悩む飼い主さんも増えてきています。

認知症の発症前からペット保険に入っている場合は、認知症の診断・治療・投薬にかかる費用は、他の病気と同じように保険の補償対象になります。

ただし、上でも説明したように、認知症の介護・ケア用品などの費用は保険では負担されないのでご注意ください。

保険に入るべきかどうかで迷っている方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

「保険」と「貯金」の役割分担で備える

老後費用は予測しにくい治療費を保険で、介護費用や療法食など対象外の出費を貯金で備える、保険と貯金の役割分担を解説したスライド

ここまでの内容を整理すると、ペット保険だけで老後の費用すべてに備えることはできないということがわかります。

にゃーす

「保険」と「貯金」両方を考えることが大切

保険=予測できない高額治療に

保険が得意なのは、「いつ起きるかわからない、高額な治療費」への備えです。

骨折や腫瘍の摘出手術、尿路閉塞などは、症状や治療方針によっては30万円〜80万円ほどかかることもあります。こうした予測しにくい高額出費に対しては、保険で備えておくと安心です。

実際に保険を選ぶ際に確認しておきたいポイントは、こちらの記事で詳しく解説しています。

貯金=介護費用・保険対象外の出費に

一方、老犬ホームの利用料や介護用品、療法食といった「保険対象外の出費」は、あらかじめ予測できる支出でもあります。こうした費用は、保険ではなく貯金でコツコツ備えておくのが現実的です。

ここまでの内容を、簡単な表で整理してみましょう。

主にカバーするもの備え方
ペット保険病気・ケガの治療費(通院・入院・手術)若く健康なうちに加入
貯金介護施設利用料・介護用品・療法食・予防費用などペット専用の口座で積み立て

保険と貯金、どちらか一方ではなく両方を

「保険に入っているから貯金はしなくていい」わけでも、「貯金しているから保険はいらない」わけでもありません。

それぞれがカバーする範囲が違うからこそ、両方を組み合わせる。

これがペットの老後まで責任を持って見るということににつながります。

飼育費用全体のイメージをつかんでおきたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

具体的な介護・ケアの方法については、こちらでまとめています。

まとめ:ペット保険と貯金の積み立てで犬の老後に備えよう

介護費用は保険対象外・高齢での加入は難しい・治療は保険で介護費用は貯金でと、元気なうちからの備え方をまとめたスライド

ペット保険と介護費用の関係について、獣医師の視点から解説しました。

  1. ペット保険がカバーするのは一般的に「治療費」で、老犬ホームや介護用品などの「介護そのものにかかる費用」は対象外
  2. 高齢になってから、または介護が必要になってから保険を検討しても、既往症を理由に対象外になったり、加入自体を断られたりすることがある
  3. 「保険=予測できない高額治療」「貯金=介護費用・対象外の出費」と役割を分けて、両方で備えておくのが安心

NHKの番組でも語られていたように、大切なのは「いつか必ず来るかもしれない老後」を、元気なうちから想像して備えておくことです。保険と貯金、両方の備えを少しずつ整えて、ペットとの穏やかな老後を一緒に迎えられるといいですね。

にゃーす

保険と貯金、両方で備えておくと安心だよ

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この記事を書いた人

にゃーすのアバター にゃーす 獣医師

夫は小動物病院を開業して10年目の獣医師。
妻は元公務員獣医師として9年勤務したあと退職し、Webライターに転身して3年目。
夫の監修を受けながら、妻が当ブログの記事を作成しています。

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